それは、
遺言書で各相続人の相続分を指定するときは、割合で書かないほうがよい
ということです。
割合で指定というのは、具体的にいうと、「遺産を妻に1/2,長女に1/3」、「遺産を息子に10%、娘に20%」といった感じです。遺産の割合を持って受遺者に遺贈することを包括遺贈といいます。
これに対して、財産とそれをあげる人を特定して書く遺言を特定遺贈といいます。この場合は、「〇〇の土地を××××に相続させる」とか「〇〇の株式を××××に遺贈する」といった文章になります。
包括遺贈がなぜおすすめできないのかというと、包括遺贈は相続が起こった後でもめる原因になりがちだからです。
包括遺贈で書かれた遺言書ですと、割合の指定はあれど、具体的にどの財産を誰がもらうかは、相続人同士で話し合って決める必要があります。
この具体的に分けるという作業は思いのほか大変です。誰かが単独で相続するのか、それとも共有で相続するのか、はたまた売却して得た現金を分けるのか、などなど、考えるべきことが山ほどあります。この話し合いの過程で相続人同士の意見が対立してトラブルに発展しやすいのです。
遺言書がかえってトラブルの原因となってしまっては元も子ありません。
このような事態を避けるには、遺言書は、包括遺贈ではなく、特定遺贈の形式で書くことをおすすめします。
特定遺贈では、誰にどの財産を、遺言者自身が個別具体的に指定します。自分の持っているすべての財産について、それをあげる人の名前を具体的に書いていきます。この場合、相続人同士の話し合いは不要です。
包括遺贈で書くよりも手間がかかりますが、後で遺族の負担とならないよう、遺言書はぜひ特定遺贈の形式で書いてください。