遺言の無効と取消

遺言書の失敗の典型例の一つは、無効な遺言書を作ってしまったり、作った遺言書の効力が取り消されることです。

どのような場合に遺言書が無効や取消となのか、理解しておきましょう。

遺言が無効になる場合

方式の不備

遺言は法が定める方式に従って作成されている必要があります。

それに反してなされた遺言は原則として無効となります。

遺言能力がない

遺言者が遺言をするには遺言能力を有していなければなりません。

遺言能力を欠く遺言者がした遺言は、後になって裁判で、遺言能力がなかったことが立証されると無効となります。

停止条件や解除条件

遺言に条件を付す場合があります。

停止条件付遺言…条件とした事実が発生したら、効力が発生するもの(例:○歳までに結婚すれば、相続させる)

解除条件付遺言…条件とした事実が発生したら、効力が失われるもの(例:再婚したら、効力は相続開始時にさかのぼって失われる)

停止条件付遺言では条件とした事実が発生しないこと、解除条件付遺言では条件とした事実が発生することによって、遺言は効力を失います。

公序良俗違反

不倫関係などにある遺言者がする遺言が、公序良俗に反しているとして無効とされることがあります。

遺言の失効

遺言を作ってから亡くなるまでの間の事情の変化によって、遺言の効力が失われる場合があります。

例:財産を相続するはずだった人が先に死亡すると、その人に相続させる旨の遺言は効力を失う。

遺言が取り消される場合

遺言の撤回

遺言者は、いつでも自由に遺言を撤回することができます。

撤回された遺言は、取り消されたものとして、効力を失います。

生前処分などによる撤回

遺言を作成した後に遺言の内容と矛盾する財産の処分などを行うと、その遺言は撤回されたものとみなされ、効力を失います。

錯誤、詐欺、脅迫による取消

遺言が錯誤や詐欺、脅迫によってなされたとき、遺言を取り消すことができます。

これができるのは、遺言者本人か相続人です。