遺言執行者

遺言に込めた願い。遺言者亡き後、その願いを実現するには、遺言の執行が必要です。

遺言を執行する人を遺言執行者といいます。

遺言執行者は、相続発生後に家庭裁判所に選任してもらうこともできますが、スムーズな遺言執行のためには予め遺言書の中で指定しておいたほうがいいでしょう。

遺言執行者の権限

改正民法では、遺言執行者は、

  • 遺言の内容を実現するため、遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有し
  • 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対し、直接効力を生じる

と明記されています。

遺言者の職務は遺言内容の実現であり、相続人の利益のために職務を行うわけではありません。

遺言者の意思と相続人の利益が対立する場合、遺言執行者は遺言者の意思に沿って職務を行います

たとえば寄付のような相続人の経済的利益を害する内容であっても、亡くなった方になりかわってその想いの実現に動くのが遺言執行者の使命です。

遺言執行者の通知義務

遺言執行者は、その任務を開始したときは速やかに、遺言の内容を相続人に通知する義務があります。

遺言の内容を相続人に知らせる前に執行に着手したり、知らせるのが遅くなると、相続人から責任を追及される危険があります。

遺言執行者と遺贈の履行請求先

遺贈の場合、受遺者は、

  • 遺言執行者がいれば、遺言執行者を相手方として遺贈の履行請求をする
  • 遺言執行者がいなければ、相続人を相手方として遺贈の履行請求をする

と定められています。

遺贈では、相続人の利益を害する遺言であれば特に、相続人の協力を得るのが難しくなります。

一人でも反対する相続人がいれば、遺言内容が実現できないおそれがあります。

遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者だけで手続を進められるのでスムーズです。

遺言書で遺贈を行うときは、遺言執行者の指定を忘れないようにしましょう。